5月末に事務所を移転するべく、現在移転先の建物の改修工事中です。
そのコンセプトはおいおい説明するとして、その背景事情第2弾として、2021年9月に訪れた丹波篠山市の城下町(西町)の報告書をアップします。

1 概説

丹波篠山市の中心街は、篠山城を中心とした城下町である。伝建地区(篠山城及び河原町)に指定されていない地域も、城下町の風情が残る街並みがあり、その保存・活用をNPOなどが実践している。

西町は、城の北西に位置し、地元の商店と住居が混在した地域である。

 

2 篠山城下町ホテルNIPPONIA

古民家を再生したホテルNIPPONIAは、今や全国に展開されているところ、この本店ともいうべき篠山城下町ホテルNIPPONIAのフロント・レストランであるONAE棟を見学した。

フロント・ダイニングONAE。明治期に建てられた元銀行経営者の旧住居。

丹波篠山のモデルを全国に水平展開

金野氏の説明

NOTE(当時は一般社団法人ノオト)が建物を買取り、改修を行った。計1億円かかった(坪50万円)ところ、費用は全てファンドで賄い、リターンを実施できている。

建物は登録文化財レベルのものであり、これを取得し、改修することで、年月を重ねた風合いが良いものを安く提供できる。あえてピカピカに改装することはしていない。かまどは、法規制で火が使えないので、オブジェとして残している。スプリンクラーは任意に設置した。レストランのオペレーションの必要から畳敷ではなく、フローリングにしている。

ホテルとレストランの運営は、VMGというホテル運営専門の会社に委託している。

地域に点在する建物に計21室あり、満室時は42名が宿泊することになる。この建物には5室ある。

やはり古い建築物の歴史に敬意を表してこのように残すのが流儀

かまどは法規制で使えないがこのようにオブジェとして残してある

この戸の向こうがメインダイニング。他の建物(宿泊棟)の宿泊客もここに食べにくる。

壁についた色や汚れもあえて残すことで建物の歴史を示す

法規を守りながら古い建物を利用するのは大変

ホームページからの情報集約

2009年集落丸山オープンからスタートし、組織は、一般社団法人ノオト(2009年設立)、株式会社NOTE(2016年設立)、NIPPONIA協会等多角化している。トータルなエリアマネジメントを探求し、事業し、活動するとされている。具体的には、空き家調査、改修プランの作成、資金計画・収支計画の作成、事業体の組成、資金調達、事業者誘致などが行われている。

NIPPONIA - なつかしくて、あたらしい、日本の暮らしをつくる

NIPPONIAとは「なつかしくて、あたらしい、日本の暮らしをつくる。」という想いのもと、歴史的建築物の活用を起点に、その土地の歴史文化資産を尊重した持続可能なビジネ…

篠山城下町ホテルNIPPONIA

https://www.sasayamastay.jp/

3 西町ブリキ玩具製作所(NPO法人町なみ屋なみ研究所オフィス)

続いて、呉服店を利用した建物を見学した。

1階は、西町ブリキ玩具製作所となっている。東京で廃業したところから、ブリキのおもちゃ製造の機械と金型を引き取り、設置して、ブリキのミニカーを製造する体験などができる。西町のコンセプトが昭和レトロということでマッチすると考えてのこと。機械は無償だが移動するのに100万円かかった。

改修により設置された螺旋階段を上がり2階に行くと、古い民具が展示販売されている他、畳敷きの部屋が残されており、そこでNPO法人町なみ屋なみ研究所の集まりが行われている。

建物はNPOが賃借している。

NPO法人町なみ屋なみ研究所

https://machiyaken.jp/

古民家再生ボランティアを募って作業したり、購入者を募集したり、活発な活動が記録、報告されている。

 

4 今村宅等

NPOまち研の理事長でもある今村俊明氏の実家を見学させてもらった。伝健地区ではない西町にも登録文化財指定されているこのような建物が残っている。

そこまで歴史的でない昭和の街並みを構成する看板建築が残っている地域である。NPOまち研は、こうした空き家も含め、活用を促進している。現に、実家に帰ってきて飲食店を始めたり、薬局が書店として利用されたり、銭湯が改修されて住居として利用されたりと活用されている。

RHベーグル

薬局だったであろう建物は看板はそのままに書店として利用されている

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