会社所有不動産を含む遺産分割

会社所有不動産を含む遺産分割

事例1

1人株主かつ社長であったお父さんが亡くなり、子供達が遺産分割をした事例を紹介します。
被相続人(亡くなったお父さん)は、古くからご自身が相続した一等地で商売をしていて、その後、事業を法人化し、その土地の上に会社所有の建物を建てました。そこで事業をしながら、家族もその建物で生活していました。離婚されていたため、相続人は子供達です。

1人株主の会社によくあることですが、被相続人が会社に貸付をしていました。事業は子の1人が一応継いでいたのですが事業の実態はほぼなく、会社の資産は、建物と貸付金のみ、金融機関からの借入等の債務はありませんでした。
任意の協議が難しい兄弟姉妹関係であったため、それぞれに弁護士がつき、家庭裁判所での遺産分割調停が行われました。建物のリノベーション活用なども検討しましたが、兄弟姉妹間の歩み寄りも難しい状態が続き、土地の値上がり傾向もあり、建物の保持は難しいという結論となりました。それでも、弁護士同士が協力して不動産を高額で売ることができ、会社への貸付金も評価しながら、最終的に兄弟姉妹が納得できる配分をすることができました。
被相続人は遺言を書いていなかったため、結果は被相続人の意思どおりではなかったかもしれません。もっとも、不動産が高値で売却でき、子供達に高額な金銭の配分がされたことで、その場所に不動産を保有していたという価値を、後世に残せたと評価できます。