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2003年(札幌弁護士会業務改革シンポへの寄稿)

私の業務外活動 -札幌市と市民による都心交通政策の動き-
2003年(札幌弁護士会業務改革シンポへの寄稿)

1 札幌市による都心交通ビジョンの発表

 札幌市は、2001年5月に都心交通ビジョンを発表しました。札幌駅前通りの自動車通行不可、大通公園の連続化など歩行者優先のまちづくりのイメージが示されました。これに対して、都心部の商業者からは強い反対の声があがりました。道警等関係行政機関からも不満感が示されたと聞いています。自動車通行よりも歩行者空間を確保するという点では、LRTさっぽろは同ビジョンを評価しましたが、公共交通の充実が抜け落ちている点で全面賛成というわけにはいきませんでした。

 現在の札幌の公共交通は、長距離はJR、中距離は地下鉄が整備されていますが、バスのネットワークは他都市に比べ貧弱であり、都心部内部の移動などの近距離移動のための手段が弱いといえます。札幌駅、大通を結ぶ100円バスなどの工夫・努力がなされていますが、市民の足と言える状況ではありません。このような公共交通の状況で、マイカーで都心に来るな、地下鉄で来て、歩け、と市民に強制するのは乱暴です。都心部の集客力が落ちている中、このような政策を実施されては、これに追い打ちをかけることになり、商業者が反対するのも当然です。

 車社会であるドイツ・フランスで、歩行者中心の歩く街がうまくいっているのは、車から無理なく公共交通にシフトでき、かえって移動しやすくなるという状況を住民に提供しているからです。財政事情からか、交通局の体力からか、札幌市のビジョンはすっぽりとこの点が抜け落ちていました。

2 都心交通ビジョン懇談会、都心交通ビジョン検討会

 札幌市は、市民の反応を見ようと2001年9月から2003年3月まで、「都心交通ビジョン懇談会」を組織しました。これは公募ではなく都心の商業や交通に関係のある各商業団体、市民団体から委員が集められました。LRTさっぽろからは代表の吉岡氏が参加しました。札弁環境委員会も2000年5月ドイツ視察後、同ビジョンについて市職員からヒアリングを受けるなどしていましたので、市から参加要請があり、私が参加しました。私はあくまで札弁環境委員会としての参加なので、市民参加の手続論に力点を置いて発言していました。
 都心交通ビジョン懇談会では、協議が2年半に及んだことで委員相互の信頼感が持てたこと、正規の会議以外にも、立場を超えて最大公約数をまとめようと自主的に委員が部会を頻繁に開いたことで、一定の合意をまとめることができました。(1)公共交通の改革、(2)誰もが歩きやすい都心、(3)道路空間の配分見直し、(4)単に交通だけでなく都心全体の魅力を高めるという4つの柱について、商業者も市民団体も共通認識が確認され、「札幌の都心交通のあり方を考える-都市交通ビジョン懇談会からの提言-」と題する提言書を発表しました。

 他方で、札幌市は、2001年、ビジョンから計画に煮詰めるべく関係行政機関も含めた「都心交通ビジョン検討会」を組織しました。こちらも同時期に、より現状維持的で実現可能な交通の改善策についての報告がなされました。札幌市では、前者はおおむね20年間に取り組むべきもの、後者はおおむね10年で実施すべきものと区別しています。そして、都心交通ビジョン検討会の方向性で計画立案すべく、2003年10月から専門家による「都心交通計画策定委員会」が組織され、検討が進められ、本年度中に計画立案を目指しています。

 通常はこれで終わりです。

3 市民議論の場の設定- 連続ミニフォーラム(各種団体全12回)・大規模市民ワークショップ(札幌市)-

 しかし、こうした交通計画には、札幌駅前地下歩行空間整備事業、創成川アンダーパス連続化事業という大きな事業が含まれており、多くの市民による議論は不可欠というのが関係していたメンバーの共通認識でした。また、札幌市から委託を受け、ビジョン懇談会をコーディネートしていた専門家(こうした協議を業として行っているまちづくりコーディネーター)も同意見でした。

 そこで、まず、ビジョン懇談会メンバーの有志6名(LRTさっぽろ、道は誰のもの札幌21、創成川ルネッサンス、札幌駅前通振興会、札幌中心部商店街活性化協議会のメンバー+私)で「さっぽろ都心フォーラム」を組織しました。そして、ちょうど市長選挙(1回目)があったので、全ての立候補予定者に呼びかけをし、都心の交通についての候補者による意見発表の場を設けました。立候補予定者6名が参加し、市民約100名が集まりました。

 他方、札幌市も、コーディネーターとともに市民議論の場の設定の案を練り、大規模な市民ワークショップ(参加型集会)を企画しました。ニューヨークの貿易センタービル跡地の利用についての5000人規模のワークショップを参考に、札幌でも1000人規模のワークショップを行おうというものです。市長選挙の再選挙によりスケジュールはずれ込みましたが、上田市長自身、駅前地下歩行空間事業につき市民議論が必要との方針を打ち出していたので、この企画が後押しされる形になりました。

 こうした行政の動きに合わせ、市民側も都心部の交通についての市民議論を盛り上げていこうということで、さっぽろ都心フォーラムは、各種団体に対し、都心の交通に関する集会を連続でそれぞれ行うよう呼びかけをしました。2000年ドイツ環境政策視察後、報告書や市民モニターへのプレゼンテーションなどの形で、環境面から持続可能な交通体系につき提唱してきた札弁環境委員会も、今年が政策決定に重要な時期であることを踏まえ、シンポジウムを行いました。財団法人北海道環境財団と共催により、都心交通の環境面の課題、市民参画手続に関し、2日間にわたるものとなりました。これらも含め、各種団体により全12回の連続集会が実施されました(執筆現在では4回終了)。LRTさっぽろは、トランジットモール(通りを歩行者と公共交通だけの通行可とするもの)の提唱、及び地下鉄などの財政問題について各1回集会を開きました。

 この連続集会に参加する市民は、全て参加すれば、地下利用、自転車、障害者の観点、創成川の利用、市電・LRT、トランジットモール、環境問題、市民参画、財政、商業と各団体から幅広い情報を得ることができます。こうした情報を武器に、札幌市の企画である11月の大規模市民ワークショップで議論をしてもらえば、充実した議論になると想定し、さっぽろ都心フォーラムは、札幌市と連携を図って企画を進めてきました。

4 これからの課題

 札幌市は、全国でも類がない大規模な市民議論の場を設定し、市民団体の協力も得つつ、初めての試みを実施しようとしています。ここまでは十分評価に値すると思います。

 問題は、大規模ワークショップ後の札幌市の進め方です。議論の結果が、従来のように聞き置く型とされるのか、都心交通計画等の計画に反映されるのか、ここはもっぱら行政内部の問題です。これまでの行政主催の審議会や市民会議は、こっそりと少数のメンバーで行われていたので、その成果が行政に反映されなくともそれほど問題視する声は大きくありませんでした。しかし、今回は、12回もの市民側の集会が行われ、市の企画であるワークショップ自体にも延べ1000人もの市民が参加することが予定されています。マスコミも、注目していますし、駅前地下歩行空間という市民の関心の高い事業についての議論も含まれています。充実した議論がなされれば、その存在はとても無視できない力となるはずです。

 本年度中、都心交通計画策定委員会は検討を行います。会員のみなさんにも大規模ワークショップ(11月14日、15日実施予定)及びその後の検討過程につき、注目していただければと思います。

LRTさっぽろ http://www.lrt-sapporo.gr.jp/

都心の交通連続ミニフォーラム http://www.1000ws.com/forum/

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