昨年12月17日試験が終了してから、今年1月16日まで、1ヶ月もの休みが終わり、春学期が始まりました。10枚程度のペーパーを書く課題はありましたが、非常に暇でした。中学高校時代は剣道で忙しく、大学及びその後数年は受験勉強、司法試験合格後は研修所が始まるまで期間があるのですが、母校のために後身指導で忙しくしていました。小学校でも5、6年生の時は受験勉強をしていたので、4年生くらいの時以来の暇な長期休暇だったといえます。出かけるといっても冬にはあまり行くところもなく、サンディエゴの動物園とシーワールドに行っただけでした(動物園はすごい)。早くから休みの計画をしていればヨーロッパ等への飛行機代も日本からより当然安いので、もったいなかったですが、次女も飛行機代がかかるようになり、家族で動くとかなりの出費になるのでやむを得ません。

さて、今学期は、Wild Life LawとTrade and Environmentが主な履修科目です。前者はWild lifeといっても別にrock n’ rollな生活者のための法ではなく、野生生物の法です。アメリカの環境法というと自然保護法を指しますので、まさに要の科目といえます。後者ではWTOを中心に貿易自由化と環境保護のせめぎ合いを勉強しています。両者ともたいへん興味深く、やっと環境法を勉強しにきたという実感があります。


ここ2回の支局報では、かなり堅い話を論じましたので、今回は生活面についてです。上記のようなアカデミックな環境で世界の将来の環境を心配している身ですが、日常生活では無知で弱い消費者としてやられっぱなしです。カルチャーショックを受けていますので詳細な報告となります。
ご承知のとおり、アメリカではお客様意識というものは皆無です。純粋な資本主義社会での消費生活はもっとシビアなもので、だますかだまされるか日々戦いといって過言でないです(少なくとも今の私にとっては)。留学準備の段階でも、先に通うことになっていた州立大学の手続きの不備に悩まされましたが、入国後まもなく、最初のショックが待ち受けていました。世界に名高い(一部の世界では)ポートランドの公共交通Tri-Metのバスでの出来事です。半日券を買いバスに乗ると、その券と交換で普通のトランスファーの紙を渡されました。そして次の次くらいのバスの乗り換えの際、運転手は、私のトランスファーの紙を見ると、取り上げてまるめてゴミ箱に捨ててしまいました。こんなことをされては、「あのー。ちょっと。」という感じの日本人の常套句excuse meは口にでません。自然にHeyです。「やい。俺は4ドル払って全域券を買ったんだ。何するんだ!」という感じで両手を広げるジェスチャーとともに意志を伝えました(金額は定かでない)。すると、運転手は丸めた紙を拾い出し、内容を確認して、ただexcuse meと言って私に返し、何事もなかったかのように運転を始めました。

その半日券で、その後入居することになるアパートにたどり着きました。電気水道代込みで$700ということで、かなりお得な条件だったので、そこに決めました。翌日、レンタカーで仮契約のために訪れると、昨日と同じ人物金髪娘Kellyは、仮の申込書に$720と書いているではありませんか。「おかしいなー。昨日700だって言っていたから決めたのに。」と言うと、Kellyは「そうだったけ」(正確に何と言ったのか覚えていませんが)と言って、$700に直したものをプリントアウトして持ってきました。

この時点では、2点ともうまく自己の利益を確保できたので、「やはりアメリカ社会では主張することが大事なんだな」などとわかったような思いを抱いていました。その後連敗していくとは知らずに。
車編(1)

まずは車です。街道沿いのあやしげな中古車業者でしたが、1台目(2人乗り)は非常に良い買い物でしたので、同じ業者からの2台目(4人乗り)も問題ないだろうと相手を信頼してしまいました。家族の到着日が迫っているのに、2台目は、パワーウンド不動が直されず、納車されそうになかったので、いよいよ何とかしなければということで店を訪れると、なんとタイムカプセルから出てきたかのようなビカビカの83年製トヨタセリカXXがありました。興味本位で試乗するとこれまた信じられないミントコンディションでした。そこで、契約していた車と交換することになりました。市場価値からすると年式の差の故にそれなりの損ですが、日本市場を考えると16万キロも走った日産テラノなんかくず同然で80万円なんて絶対払う気になりませんから、私の価値観からすれば、納得のいく交換でした。試乗の時、クーラーが効きませんでした。「ガスがないだけで入れれば効く」とのことで、私もあまりにコンディションがいいので、それを信用しました。

「ガスは取引のある業者でうちの名義で入れればずっと安い。」と言って、その店の場所を教えてくれました。しかし、行っても見つからず、電話で尋ねても「あっちだった。あっちに行け。」等頼りになりません。途中で住所を尋ねた車屋のにーちゃんから、「何をしようとしているんだ。ああエアコンガスか。うちでは$67で入れてあげるよ。」と言われました。結局車を買った業者からの紹介の紹介の正規のショップでは、漏れていないかの検査だけも$140もするので、先ほどのにーちゃんのところへ行きました。その店は60年代のカマロなどを売っており、いかにもという感じでしたが、あまりの値段の差にそこで入れることにしました。日本でもガスチャージは数千円でしょうから異常に安いわけではないのです。

約束の日に行ってもにーちゃんはいなく、別の日に行き、やっとガスが充填されました。納車から非常に暑い日が続いており、業者を捜し回っていた際の暑さもあって、充填後の涼しさは天国のようでした。「怪しい店でもやってみるもんだな。日本で怪しい業者とつき合っていた経験が生きたな。」などと自己満足していたのもつかの間、家族を迎え、1週間もすると全く冷えなくなりました。トヨタに持っていくと、漏れている、うちでやると高いからこの店に行けと指示されました。その店に行くと、親切に対応してもらいましたが、オッちゃんは深刻な顔で説明します。はじめはpロペインとかfれmblとか何を言っているかわかりませんでしたが、「プロパンガスが入っている。燃えやすくて危ないので直せない。違法だから入れた業者に抜くように電話してやる。」とのことでした。プロパンガスといえば、子供の頃、遠出するとボンベが設置された家を見かけ、「危ないなー。爆発しないのかなー。」なんて思っていたほど危険な物質です。このビカもんセリカともお別れかと絶望しました。また訴訟の原告という立場が頭をよぎりました。

その後紆余曲折あり、ガス充填した業者(にーちゃんは辞めていた)の紹介のおじいさんの店でコンプレッサー修理、ガス充填をして車は完全な状態となりました。値段も総額約8万円と、日本での修理を考えると安くすみました。
車編(2)

車を買った業者はワシントン州にあります。1台目はインディアナ州のナンバーが付いていて、業者に排ガス検査につき合ってもらった後は、書類を受け取り、オレゴン州のDMV(といっても話題のあれではありません。)にて、自分で登録手続きを完了し、ナンバーの交付を受けました。2台目は、ワシントン州のナンバーがついていたこともあり、業者の指示に従って、登録料金を業者に支払い、業者が登録後、ナンバーを送ってくれるということになりました。しかしなかなかナンバーを送ってきません。電話をすると「店にもどったら、またかける。」というばかりで、らちがあきません。多くの倒産を見てきた私としてはやばいパターンだなと思いつつも、知らない間にスピード違反が検挙されており、その通知が私の転居先まで届いたので、何らかの登録は済んでいるものと思っていました。妻が法定速度内で走行中、パトカーに追尾され、止められて、名義変更がされていないと言われたので(それだけで追尾するはずはない。子供が運転していると思われたのではないか。)、重い腰を上げて、ワシントン州ヴァンクーヴァーの店まで行きました。やはりというか、なんというか、もぬけの殻でした。

比較的冷静に付近を運転し、中古自動車部品屋に入り、最寄りのDMVを尋ね、DMVにたどり着くと、なんやらインスペクターという業者を管理する人のところに行けと言われました。その人物(大きなDMVに居たので多分公務員)の説明によれば、被害者が数人来ているとのこと、なんとまあ、迷惑をかけたなどといって私に向かって謝りの言葉を発しています。アメリカにもこういう人がいるんですね。盗難車ではなく、業者も他に二重売買していないことが確認でき、私が保有できることがわかったのでほっとしました。しかし、二週間後に連絡すると言ったこの人からは当然のように連絡は来ません。ということで未解決。
通販編(1)

ある日、テレフォンショッピングのチャンネルに目がとまりました。ゴムような容器で、油がいらない、くっつかない、$39.99、イエーイ、今ならこれも付いてくる、$39.99、イエーイというものでした。慎重な妻がこれいいなーと言います。ずぼらな私は欲しいなら買えばと適当に言います。テレビに表示されたウェブサイトをチェックするとネットではどうも買えないようでした。そこで、しかたなく妻が電話をしました。長いこと話しているので様子を見に行くと、替われと言われました。替わるとわけのわからないことを息つく間のないほど話してきます。ずぼらな私は適当にOKと答えて電話を切りました。品物が送られてきました。添付されている紙にはテレビでやっていた$39.99ではなく、$69.99となっています。どうやら今ならこれも付いてくるの部分にミスリーディングがあったらしく、またあのマシンガントークの間に$69.99を買うかと尋ねられ、これに対してOKと言ってしまったようです。一部キャンセルの手紙を送りましたが音沙汰無しです。
通販編(2)

これはまだほやほや、今晩発覚したことです。クレジットカードの明細は妻の実家に送付されます。そして義母が内容をEメールで知らせてくれます。本日これを見たところ、私も妻も覚えのない$14.25が請求されています。電話番号が書いてあったのでそこに電話するといつものようにオートマチックアンサーです。ウェブサイトが言われているのでそれを見ますと、会員制割引通販のようです。このマークを見たことがあると言って妻がダイレクトメールを探し出してきました。妻の名前が会員番号つきで書いてあります。これを入力するとログインできてしまいました。つまり立派な会員です。思い当たる節を考えたところ、どうも例のマシンガントークの中で、これも申し込まされてしまったに違いないということになりました。30日間キャンセル可能となっていますが、最初の月は会費無料と書いてあり、気が付かないまま当該期間が過ぎるようになっています。おそろしい世界です。年会費性と月会費性とがあり、うちがどちらかもわかりません。会員となっていることを知っていれば、シーワールドで5%の$7ディスカウントがあったに。当然未解決。
家賃・電気料

年明け早々、気分を害しているのがこれです。アメリカのロースクールにはカリキュラムとして学生が弁護士の指導監督の下、依頼者の相談を受け、事件を受任するロークリニックというプログラムがあります。私は現在我が校のクリニックの依頼者です。

先日、管理会社から電気代二ヶ月分を電気会社に送金しろとの通知を受け取りました。電気料込みのはずです。実際、7月入居後いままで一度も電気料金を払ったことがありません。昨年11月に管理会社が替わったので引き継ぎミスかなと思いました。契約書面上は、電気はsupplied by 住人(賃借人)とされているので、やばいなと思いつつも、金髪娘Kellyが新会社に転籍して引き続き管理棟に居るのでこれ幸いと思いました。翌日管理等に行くとKellyが居て、ラッキーと思いましたがそれは間違いでした。なんと契約書面を見せて「住人が支払えとなっているだろ。」と言います。「電気込み700ってお前が言ったんじゃないか。」と感情的に言いましたが、無意味なようです。正式契約の際は当時のマネージャーDonが対応したので、彼との間で口頭契約をしたこと、彼に書面の記載について尋ねたところ、住人が電気会社と個別の契約をする必要があることを意味するのであって、料金負担を意味しないと(そう認識しました。)説明されたことを主張しました。これに対しKellyは、誰とも電気料金込みの契約をしたことはない、みんな自分で払っているとのこと。そこで、元日本国弁護士として法律論を挑みました。「じゃあ、今まで一度もこちらが払っていないことをどうやって説明するんだ。」と。Kelly曰く「間違いだった。」「入居者は自分で電気会社と契約して、この紙に契約番号を書いて管理人に渡すことになっているところ、あなたがしなかったからだ。」と。たしかに入居時にこの紙は渡されました。当時、電気会社に何度か電話しましたが苦手なオートマチックアンサーで、3・4回チャレンジしてもビジーとのことでオペレーターまでたどり着けませんでした。このことを当時Donに持ちかけると、Donは「問題ない、こちらでやっておく。」とのことで、終わりました。このやり取りがあったことを説明するとともに、「電気込みの契約があり得ないというなら、そもそもなぜオーナー名義の電気契約が存在しているのか」と尋ねると、「空き室の間にも冷蔵庫等の電気使用のためにオーナーの契約をするのだ」と合理的な返答がなされました。

とりあえず、暖房も電気なので止められたら大変なので、相手の指示に従い、電気会社との契約は結びました。そして、前の管理会社の連絡先を聞き、Donに聞いてみると言ってその場を後にしました。

Donにメールが通じたところまではよかったのですが、その返事は、「電気料金を払っていなかったとは驚きだ。何らかの溝にはまってしまったんだろう。自分が管理している間一度も電気料金込みの契約をしたことはない。」ときました。この返信を受け取ったときは、既に弁護士と電気の供給についての電話のアドバイスを受けていたのですが、ショックは大きかったです。覚えていないくらいで来るかなと思っていたからです。間違いだったと口裏を合わせられたと悔しい思いをし、くよくよ考えていると、次第に自分の記憶が不安になってきます。あの頃のヒヤリング力を考えるとひょっとして…などと。

この感情の動きは、思い当たるところがあります。仕事をしていた際の依頼者の感情です。だまされた人を前に、人はだますものだと書面の重要性を説き、くよくよ考えてもしょうがないと言います、依頼者がもしかしたら…と言い出すと、「しっかりして下さいよー。」と。現在、言葉が不自由で稼ぎもないという社会の底辺に近いところに位置し、初めてこうした立場を経験しています。この経験をこれからの仕事に生かそう。また、ロースクールをより知るためにクリニックの依頼者という経験は貴重だ。と、今週になって前向きになってきました。口頭の合意の主張を維持し続けるのは難しいと思うので、期間途中に洗濯機が設置されるに伴い一方的に家賃を$720にされたこと、これは書面の合意をしていないこと等でどこまで減額等をがんばれるか、クリニックの指導を待っているところです。こうした中、通販編(2)が発覚。またしても…。携帯電話のリベート$50が支払われていないことも電話でクレームしなければならないし。年末携帯電話料金の小切手の送付が遅れたことで$10も加算されて請求されるし、全く大変な世の中です。

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